『東魁/小泉酒造』紀行

 池田酒店より国道465号をたどって途中でマザー牧場へ向かう道とわかれ、しばらく行った先に「東魁」の小泉酒造がそびえていた。、

 堂々とした近代的な造りの酒蔵だ。今まで行った酒蔵とは一見して違う観光蔵だ。
広い駐車場に降りると表面にメインの本館、左手に旧館である「資料館」がある。まずは本館「酒匠の館」に向かう。

 入口を入ると広い店内一杯にお酒が並んでいる。全部自社の製品だ。種類・量とも圧巻。
東魁は「東魁盛」という称号も持っている。現在は東魁が主流だ。特異なのはそのほとんどを卸をしないでココの直売場で売りさばいてしまうと言うこと!
 こんな酒蔵は全国でも珍しい(と思う)。たしかに房総半島一帯は観光地だが、ココ周辺には特に目玉もなく夏場以外はそうそう車の通りも激しい場所ではない。
従ってここを訪れる人は「酒匠の館」目当ての人だと思われる。それほど観光蔵として力を入れているし知名度も高いというわけだ。

 ここは直売場でもあるが実は醸造所でもある。つまりココで酒も造っているのだ。一通り店内を見た後、店人に身分を明かし(それほどのもんじゃ〜無い)醸造所を見せてもらった。
 一応事前に電話は入れておいたが残念ながら蔵元は不在で、若い従業員に案内してもらう。

 直売場から扉一つはいると裏側にあっけなく醸造所がありました。「えっ!?」という拍子抜けな印象。
今まで見てきた蔵とは全く違う、実にコンパクトで清潔で合理的な醸造所だ。『蔵』という感じは全くない。
実は東魁では四季醸造を行っている。一年中酒造りをしているわけだ。

 通常日本酒は「寒造り」で、冬の間に1年分の酒を予定数量で短期間に大量に造る。したがって施設も大きく人手も多く掛かる。
その上、醸造施設は一年の4分の3は眠っている状態。効率が悪いと言えばこんなに悪いものは無いとも言える。
 そこで東魁は冷蔵施設を駆使して、ひと造りを極小に改め、年中仕込みようにした。
造りが小さいので人員も少人数で済む。蔵元が自ら杜氏となり、従業員だけで仕込む。季節労働者はいない。
売れたら必要な分だけつくり、造ったら直売場ですぐ並べるといった寸法だ。

 醸造所は横長の配置で小さな部屋が一列に並び、右手から作業の順序に従って左側に進むようになっている。全ての部屋が与冷され、硝子越しに作業がみれるようになっている。
 自分はちょっと衝撃を受けました。造り(酒の出来)の善し悪しはさておき、いままで回った蔵はどこも巨大で古い施設をもてあましていた。(誰もそうは言わなかったがここを見ると確かに確かにそう感じるのだ。)
 古くて使いづらい物を我慢して酒造りをしている(全部でなくても多くがそうだ)。
しかし製造と販売が表裏一体で、コンパクトでロスがない。もし資金があれば明日からでも酒造りが誰にでも出来るという新しさがここにはあった。

 近い将来酒造りはこうなるのではないか。ならなくては「この先やっていけない」のでないかと思わせる。実際全国でも近代的な施設で酒造りをしている蔵が新ブランドで注目を浴びる例が多い。
 ただ地酒というと、「古い酒蔵で、手造りでこつこつ苦労しながら作らなくてならぬ」という情緒的な感傷が先立ってしまうが、造りが疎かにならなければこれでOKなのだ。

 一通り見学を終えた。施設は新しいが仕込み水は裏山から樋で運んでくる古式な所も持ち合わせている。
本館を出て旧館の資料館を尋ねた。こちらはもっと見応えがある。古くから使用していた道具が所狭しと並ぶ。
 昔のパソコンであるそろばんや大黒帳まで多種に及ぶ。こういう施設は県内には余りないので、酒に興味のある方はぜひ見たもらいたい。また先ほどの醸造所との対比も面白い。

 蔵元のお話が聞けなかったのは残念ですが、今までとは違った意味で貴重な酒蔵訪問でした。直売場があるとはいえこれだけの施設を運営するのは大変でしょう。しかし次世代の造り酒屋の一つの可能性も見いだせた気がしました。(えらそ〜に・・・)

 ぜひ内房〜鹿野山方面に入らしたら立ち寄ってみて下さい。マザー牧場も近いし、分かりやすいし、なにより普通造り酒屋にはなかなか立ち寄りづらいが、ここにはそれがない。気軽によれます。また食堂で食べられる名物の「地酒入りうどん」が美味しいのも付け加えておきます。試食あり!


date=2005.7.14(Wed)/PM2:00頃
天気=曇り

【直売場店内】 スゴイです。品数の豊富さボリュームに圧倒されました。




【酒母室】 お酒の母。酒母(モトともいう)をつくる部屋です。




【麹室】 手前に見えるのは自動成麹器。奥に見えるのは床もみなどを行う平台。




【発酵タンクか貯蔵タンク】 比較的小さいタンクで仕込んでいます。




【昔の帳簿類】 資料館にある昔の事務道具類。




【昔の酒造道具】 奥に見える乳白色の取っての付いた陶器は暖気樽(だきだる)、その手前に「よくふかし」などなど




【昔の酒造道具】 手前は半切り。その奥は水桶でしょうか。
もどる | 地酒を蔵元直送販売〜美酒探求/千葉の酒街道|日本酒通販ホームへ |