『寒菊銘醸』紀行

寒菊正門
 久々に「寒菊銘醸」に行って来ました。
毎年、年に2回ほどは訪れるのですが、今回は昨年夏以来です。
 寒菊銘醸は九十九里浜より程なく内陸に入った辺り、田園地帯の中にある。
周囲を鬱そうとした木々に囲まれて、酒蔵らしい佇まいだ。

 駐車場に車を止めると右手に立派な門がある。
しかしそちらには向かわず、駐車場の脇にある事務所に向かった。
折良く事務所から専務が出てきた。現在社長はいるが、実質的には専務が代表を務めている。
 まず挨拶は昨年の快挙の御祝いだ。
寒菊では昨年、念願の全国新酒鑑評会にて金賞を受賞した。今まで関東局での受賞はあったが、全国では初めてなのだ。
専務との挨拶はそこそこにして、酒造蔵の方に向かわせてもらう。

 事務所の隣は「カントリービアーハウス」。それに並んでビールの醸造設備がある。
寒菊ではビール醸造の規制緩和に合わせて、地ビールの製造にもいち早く着手している。

 その前を通り抜けると酒造蔵に出る。
丁度、洗米の真っ最中だった。杜氏が気づいてくれたので、早速「金賞受賞」を祝う。
杜氏は満面の笑顔でうれしそうだ。それはそうだろう、鑑評会で金賞を獲るのは全国の造り酒屋、杜氏の目標なのだから。
三時のお茶まで待って杜氏や蔵人の話を伺った。

 「昨年はこれと言って造りを変えたことはありません。金賞を取れたことは偶然という感じです。
それより、毎年やっていることが評価されたと言うことでしょうか。去年獲ったことで今年はプレッシャーがありますネ。」とは杜氏の弁。
 「杜氏自身はどんな酒を造りたいですか?」と質問すると、「蔵元の了承がなければ自由につくることは出来ません」との返事。
「でも金賞を取ったことで発言力が増したのでは?」っというと「どうですかねー」と笑顔。
 ココではホームページにかけない話もたくさん出たので、「三年は連続して金賞を取ってください」とお願いして再び事務所に戻った。

 ビアーハウスの前で専務が待っていてくれた。
ビアーハウス内で、バンド演奏を聴きながら今後の方針を聞く。
 「去年金賞を取った。でもそれで売上げが急に増えるわけではない。いい酒を造るだけでは売れるようにはならない。戦略が必要だと思う。」と専務。
 「新潟の蔵などは宣伝が上手!温暖な千葉県では酒のイメージが薄い。それだけよけいに上手な宣伝をしなければ。」と私。

 仕込み水の話しから、今後の酒造りに関して聞く。
 「水は少し前までは自家水を使っていました。しかし今はもっと山間から汲んできています。
この辺は海岸に近いので硬度が高い。今はもっと軟らかい水を使うようにしています。」
 「硬い水の方が発酵力が強く、酒造りに向いているのでは?」の問いには、
 「確かに温度管理が難しかった昔には、硬水が必要だったときもありました。
しかし今は温度管理は万全です。硬水では出来る酒も硬くなってしまう。私はもっと軟らかい飲み口の酒が造りたいと思っています。」との回答。

 「淡麗辛口の酒がもてはやされた反省から、最近は旨味・厚みのある酒が出てきています。
それからしてもその選択は正解だと思います。
さっき杜氏からごちそうになった吟醸の搾り立ても、優しい口当たりでした」と専務に話して蔵を後にしました。

 寒菊の酒は元々甘辛の同居した、複雑な味わいの酒です。淡麗辛口が流行ったときには迷ったと思いますが、路線を変えなかったことが、現在いい方向に向かっていると思われました。


date=2002.1.19(sat)/PM 2:30頃
天気=晴れのち曇

【酒蔵内部1】 右側に自動圧縮機、左側には貯蔵タンクが見える。圧縮機の後ろには昔ながらの「槽(搾り器)」もある。


【酒蔵内部2】 上の写真の反対側から撮影。白いタンクは「もろみ(発酵)タンク」、左側は密閉式の貯蔵タンク


【酒母】 「もと」ともいう。モトという漢字はサケヘンに元と書くが当用漢字にはないのでパソコンでは変換できない。文字どおり酒のモト。


【もろみタンク内】 仕込みが終わった状態から日が浅いのでまだ泡は少ない。


【蔵人】 向かって左が杜氏。この業界では非常に若い方だと言える。全員岩手から来ている。ここ数年はこのメンバー。


【当蔵の酒】左から、夢又夢、大辛口、九十九里、松尾自慢の大吟醸と吟醸


【カントリービアーハウス内】 当蔵で醸造する地ビールが飲めるビアーハウス。毎週末コンサートが楽しめる。
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