『福祝/藤平酒造』紀行


 福祝・藤平酒造にお邪魔するのは3度目になります。いつものように蔵元の藤平恵子さんと店主の淳三さんがにこやかに出迎えてくれました。

 藤平酒造は久留里町の繁華街の中央に面し、すぐ向かいには吉崎酒造が構えている。周囲にはさらに3件の酒造蔵があり酒処の面目躍如というところ。
 店頭に車を止め直売所の店内に入る。今回は酒造り担当・次男の典久氏も一緒だ。

 藤平酒造は蔵元であるお母さんを3人の孝行息子が支える歴史ある蔵元だ。3人の役割分担は長男の和也氏が経営担当、次男の典久氏が醸造担当、営業、販売担当が三男の淳三氏というように受け持っている。そして仕込みの時期には3人力を合わせて仕込みに入る。出稼ぎの杜氏は4〜5年前から置いていない。
今年の酒造りについて聞いてみた。

 「金賞受賞おめでとうございます。昨今では4回目の受賞ですが、酒造りで特に気を付けている事はありますか?」
今は麹造りには気を付けています。精米、浸積、蒸し、温度管理、どれをとっても気が抜けません。最近はいい酵母ができて酒造りは楽になりましたが、やはり基本は麹だと考えています。麹が良ければその酒造りは成功したと入ってもいいくらいです。
 「今年はそれが上手くいったというわけですね?」
山田錦を使った麹は最高に上手く行ったと思います。
また今年は雄町を使った麹での仕込みもしました。こちらはまだ味がのってこないですが秋頃が楽しみです。

 そういう努力が実って最近の輝かしい功績につながっているのだろう。

 さて店内には自社のお酒が所狭しと並んでいる。冷蔵庫には試飲用のサンプルも豊富で、常時10種くらいは試飲ができる。久留里の特産品もあってチョットした特産市場のようだ。
店舗を後にして蔵に案内してもらった。

 店を出るとすぐ前に自慢の自噴井戸がある。久留里は水が豊富で千葉の名水100選にも選ばれるほどで、久留里街道沿いには自由にくめる上総堀の井戸が結構ある。

 仕込み蔵は店から歩いて5〜6分の所にあった。新しい店舗とは違いこちらは歴史を感じさせるものだ。
蔵は久留里街道から少し入り、店舗より一段低い位置にある。すぐ下を鉄道の久留里線が走り、そのまた下を川が流れている。

 蔵に着くと、まず目にとまったのがやはり井戸である。
この蔵で使う水はすべてこの井戸水でまかなわれる。試しに飲んでみると柔らかで清々しい味わいだ。聞くと中硬水だそうだ。
同じ久留里でも、ちょっと離れた須藤本家は軟水といい、前の吉崎酒造は深井戸で硬水が出るという。
こんなに近いのに、場所や井戸の深さで水質がこうも違うとはちょっと驚く。

 蔵自体はかなり古く、機械らしい機械はない。
手造りで酒造りをしているのだな」と感じられる。来たのが夏だったのでもちろん酒造りは行われておらず、閑散としているがよく片づけられていた。

 若い後継者がいるこの蔵は本当に活気がある。千葉県内ではこういう蔵は珍しいが、久留里〜富津辺りは若い経営者に恵まれている地域だ。全国でも最近好調なのは、若い経営者のいる蔵だ。
この蔵も酒質の向上が著しく東京を中心にかなり販売を伸ばしている。グルメ雑誌のDANCYUでも某有名地酒専門店の推薦を受けていた。

 「まだ誰もお嫁さんをもらっていないんですよ。
お母さんの恵子さんがポツリと漏らした言葉が今後の最大の課題なのかな・・・?


date=2006.7.11(Tue)/PM1:30頃
天気=曇り
【直売所】 直売正面。看板の「藤久盛」は旧銘柄。先代から福祝に。


【直売所店内】 実に豊富な品揃えです。試飲もできます。


【ご兄弟】 次男の典久氏と三男の淳三氏。


【釜場】 昔ながらの甑で蒸します。奥が麹室になっています。


【圧搾機】 お馴染みの佐瀬式の圧搾機です。お酒を搾ります。


【井戸1】 仕込み蔵にある井戸。この水で洗いも、仕込みも、割水もします。


【店前の井戸】 自噴しています。観光客が自由に汲めるようです。
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