『旭鶴/旭鶴酒造』紀行

 1年ぶりの酒蔵紀行は初めて北総に来ました。その間ちょこちょこと出回ってはいたのですが、レポートがとれるのは久しぶりです。

 さて、今回おじゃましたのは佐倉の地酒蔵「旭鶴酒造」です。佐倉は歴史が古く、かつては城下町、現在は学問の町として知れ渡っています。
旭鶴はそんな発展した佐倉とは縁遠い国道51号線から旧道に入ったところにある、時代から取り残された感の古い町並みの中にある。

 事前に連絡してあったので蔵元であるご主人が快く迎え入れてくれた。この蔵に来るのは3回目、以前は奥様が出迎えてくれたのだが・・・
 実は、そうなったのは現在この蔵の仕込みの中心は奥様だからだ。以前は南部杜氏がこの蔵の酒造りをしていたが、数年前から蔵元のご主人に嫁いだ奥様が杜氏として酒造りを切り盛りするようになった。したがって事務や顧客の応対は必然ご主人の仕事となる。その辺を聞いてみた。

 「いろいろ理由がありますが、費用的な問題、杜氏の年齢的な問題・・・中でもやはり売り上げが落ちてきて費用の問題は大きな部分でした。そんな中で他の酒蔵の中でも杜氏を置かず社内でつくる酒が脚光を浴びたり、また妻が酒蔵同士の交流の場から杜氏になろうと決意したのが踏み出せた決定打でした。
 「その選択はズバリ成功でしたね。以前と酒質が変わって来たように感じますが?」
 「そうでしか?そう意識はしてませんが、味のある酒を造ろうと思っています。」
 「健康宣言や天作は新ブランドで、以前の酒よりはずっと味の濃い、濃醇な酒だと思いますが?」
 「健康宣言や天作は、地元でこだわって米作りをしているグループと提携して酒造りをしています。この酒は杜氏を置かなくなってからのものですが、杜氏のいないことで自分の造りたい酒を思いきって造れるようになったことは真実です。また以前は造りが巧くいかなくても、売り上げ落ちても「杜氏のせい」に出来ましたが、いまでは全て自己責任ですから気合いの入れようが違います。」
 「酒造りで注意している点、またはこだわりとは?」
 「まー酵母選びですかね。今は酵母が大切ですから。香りのいい、しっかりと酸がでて、なおかつ出過ぎないような…いい酵母でもウチの水、造りに合わなければダメですから。そう言った意味で酵母選びは大切です」

 話をしていると蔵元は朴訥ながらしっかりとした口調で自信もあるように感じる。「自らの道に迷い無し」という感じなのだが、これが電話だとやる気があるのかないのか、はたまた寝起きなのか、生気が無く感じられるところが実に不思議だ。
 さて「肝心の奥様は」と思ったら、さっきからマスクにほっかぶりのお茶を入れてくれた女性がそうだった。
実はインフルエンザ上がりで仕事に復帰したばかりだとか。「お話を…」「じゃーせめて写真だけでも…」とたのんでも「ダメです、近寄らないで下さい!移りますよ!」と逃げの一手でした。

 今回はお顔を拝見できませんでしたが、奥様はふっくらとした丸顔の笑顔のかわいい女性です。こんな方から出来る酒ですからふっくらとした女酒かと思いきや、先に出た健康宣言や天作は味わいに厚みのあるしっかりとした男性的な酒です。
 かと思えば吟醸系は香り高く気品のある華のある酒質。こんな酒がまだ新米(失礼〜♪)の杜氏が造れるのだから酒蔵の嫁に来たのはまさに天声だったのでは。

 酒の酒質は格段に良くなっています。自分たちで造ることで、バラエティに富んだ酒を短期間に開発できる環境になってきた。醸造量が減ったことが、このことにかえって好影響を与えているように感じた。むろん経営状況は厳しいだろう。しかしいつか花開くに違いない。あとはイメージを全体的にあか抜けさせることでしょうか?まだまだ悪い意味で昭和を引きずっている。これを脱却できれば一気にメジャーだ!頑張れ「孝一さん、素子さん」!

date=2005.2.18(Fri)/AM10:00頃
天気=曇り

【蔵内1-壁に】 見学者に分かりやすく酒造りを解説してある。ナント実際の蔵内の酒造りの写真である。



【麹室(むろ)】 清潔な室内。自動製麹幾と麹蓋を使用する。



【槽(ふね)】 お馴染みの佐瀬式の圧搾機。これで酒を搾る



【蔵内2-寒い】 温暖な千葉といえども佐倉は寒い。若い蔵人が濾過の監視をしているところ。ぶるる



【店頭】 蔵に入ったら事務所兼売店がある。冷蔵庫には試飲用の酒もあり。



【蔵前で】 説明をしてくれた若い蔵元「田中孝一氏」とパチリ。これから蔵に行ったときには自分も写真に収まるようになりました。しかしどうです直立不動です。実直な性格が伝わります。

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