『天乃原/須藤本家』紀行

 丁度一年ぶりに久留里にやってきました。今回はいつもの連れに加え、お客様が二人お出でです。
東京の酒販店の若旦那と女性の為の「酒の会」を営む美人さんです。

 さて今日の最初の訪問地「須藤本家」には3回目の訪問です。いつも面白い話を聞けるので今日も楽しみです。

 売店の玄関を入って声をかけると、「はいよー」と元気な声が帰ってきました。恰幅のいい「須藤正俊」社長である。一通り挨拶をし近況を聞かせてもらった。

いやーだめだねー。日本酒は売れないよう、鎌田さん。」いつもの須藤節だ。
 「焼酎は売れているでしょう?」
そうでもないよ。地域限定品も一年だよね。後はダメだよ!

須藤本家では日本酒の他に焼酎も造っている。県内ではいち早く芋焼酎も開発した。また地域の特産品を原料とした焼酎の依頼も数多く手がけている。

 「日本酒はどうですか?」
やっぱり厳しいよ!地元で売れないしね。取り締まりが厳しくなって飲食店でも飲まれなくなってきてるよ。
 「やっぱり東京ですか?」
東京だね。これからはまず東京!都市部でなければ日本酒はダメだね。東京で売れれば全国で売れるようになる。
鎌田さん、この秋“しずく”で東京に仕掛けるよ!いい酒あるんだよ。

 「東京で仕掛けて、高い評価を得られれば地元でも売れるようになる。イチローや松井もメジャーにいって評価を上げた。ぜひがんばって下さい。」

 須藤社長の話はいつも内容とは裏腹に元気がいい。そして実直に話してくれる。酒造り、酒業界の裏も表もなしにだ。だからここに来ると本当に勉強になる。
今回も他の蔵の酒造りの話、酵母の話など数々してもらった。

 なかでも興味を注いだのが「二種類の酵母」の話。先ほど仕掛けるといっていた「しずく酒」は2種類の酵母を使うそうだ。詳しくは説明できないが、頃合いを見はからって酵母を使い分けるそうだ。酵母のいいとこ取りが出来る利点があるといっていた。

 ずいぶん話を聞かせてもらったので蔵に案内してもらった。
須藤本家の酒造場は新しくしたばっかり。近代的な蔵に生まれ変わった。
蔵内は見学者が作業のジャマにならないよう、ガラス張りの見学路が作業場の周りをぐるりと取り囲んでいる。通路を一廻りすれば一通りの作業がみれるというわけだ。
この蔵内で季節に応じて清酒も焼酎も造る。焼酎を造るのは、米と収穫の時期が異なる作物を利用した焼酎を造る事で蔵の効率化も図れる利点もある。

 「お金をかけすぎた」と社長はこの蔵について評価するが、清酒、焼酎を効率よく仕込めるのはこの蔵のお陰でもある。

 蔵を出るとすぐ前に清水が湧き出ている。久留里自慢の天然水だ。久留里は上総堀の発祥の地でもあり、また水の美味しいところでも有名だ。ここの水もポンプで汲み上げるのではなく自噴している水なのだ。絶えず観光客が立ち寄り水を汲んでいるのが見受けられる。
ただ同じ久留里の水でもところによって高度が異なる。須藤本家では軟水だという。

 この清水を仕込み水に使う須藤本家の酒は非常に洗練されている酒だ。キレイだがしっかりとした旨味をもいっている。また生酒のうまさは別格である。
先ほどもいったように焼酎造りも熱心である。これからも県内産の芋を使った焼酎造りの計画もあるそうだ。

 しかし、こちらとすればあくまでも本業は日本酒造りであって欲しい。それほどここの酒は美味いのである。今のままでも全国レベルの酒と言える。後は毎年安定した酒を造れるかどうかである。
それと気がかりなのはこちらも跡取りが娘さんだということ。ぜひ素敵なお婿さんを早く見つけて欲しいものです。

 それにしても東京に仕掛ける「しずく酒」が楽しみです。一体どんな酒なのか?いつ出るのか?早く飲ませてもらいたいものです。出ましたらいち早く皆さんにご紹介いたします。どうかお楽しみに!

date=2006.7.11(Tue)/AM10:30頃
天気=曇り

【蔵入り口】 おなじみ酒林です



【酒連続蒸米機】 効率よく少ない人手の作業には必須です。



【麹室】 こうして麹室が見られるのはガラス張りのお陰



【検査室】 ここも普通はめったに見ることは出来ないのです。



【湧き水】 自噴しているんですよ。



【須藤社長】 強面ですが気さくで面白いです。



【直売場】 冷蔵庫の中に斗瓶取りのにごり酒が。例の「雫」もこんな感じ?

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